国外居住親族の扶養控除

2021年06月07日

 
 所得税の扶養控除は、6親等以内の親族で所得が48万円以下の生計を一にする親族を扶養する場合に受けることができる控除です。

 他国から日本に来て働いている方が日本国外に住む扶養親族を大勢扶養控除の対象としているが、実際には扶養している実態がないという問題があり、平成28年から扶養していることが確認できる書類の提出が義務付けられました。

 国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける場合は、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示しなければなりません。


 親族関係書類とは、次の1又は2のいずれかの書類で、その国外居住親族がその納税者の親族であることを証するものをいいます。

1 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその国外居住親族の旅券の写し

2 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

 送金関係書類とは、その年における次の1又は2の書類で、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

1 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその納税者からその国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類

2 いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその納税者から受領したことを明らかにする書類

 

 この制度については、令和5年からさらに改正されます。

 形式に書類さえ整えれば扶養控除を受けることができるため、対象者の範囲が限定されることになりました。


 改正の内容は次の通りです。

 その対象となる親族から、年齢 30 歳以上 70 歳未満の非居住者であって次に掲げる者のいずれにも該当しないものを除外する(所法2①三十四の二)。

イ 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者

ロ 障害者

ハ その適用を受ける居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を 38 万円以上受けている者


 つまり、30歳から70歳までの人については、一定の要件に該当する場合以外は扶養控除の対象から除かれることになります。