何を聞くかが大事
今年の確定申告の時期には税理士として確定申告コールセンターで数日間電話相談員をしました。
確定申告相談会場に行く人が事前に必要書類を確認するための問い合わせをすることがよくありますが、相談員がお客様に的確な質問をすることで間違いやトラブルを減らすことができます。
問い合わせしてくる人は確定申告についての知識がほとんどない場合が多いので、できるだけ多くの情報を話してもらう必要があります。
とはいえ、相談員からすれば、相手の状況がわからない中、限られた時間の中でなるべく正確な回答をすることは難しい場合もあります。
一般的によくある事例として、こんなケースがあります。
会社員のAさんは、副業の収入を確定申告しなければいけないと思い、電話相談センターに問い合わせて必要書類を教えてもらいました。
相談員がAさんにどのような収入があるのか聞くと、物品販売の事業をしているということで、それにともなう確定申告に必要な書類を回答しました。
そのほかに収入があるかどうか聞いたところ、Aさんは「ない」と答えました。
会社員の方で会社で年末調整済みの給与は確定申告に関係ないと思っていて、申告する収入は副業だけなので、ほかの収入と聞かれて「ない」と答える方がいます。
そこで、相談員が、会社に勤めていたりアルバイト収入があるかということや、社会保険は何に加入しているかといったことを丁寧に聞き出せば、会社から給料をもらっているということは大抵わかるのですが、相談員が慣れていなかったりすると、わからないこともあります。
会社員が副業収入を確定申告する場合、副業に関する書類だけでなく、会社から交付される源泉徴収票が必要です。
会社からの給与収入と副業収入を合算して税金の計算をするためです。
よく、給料は会社で税金を引かれてるのだから関係ないでしょうという方がいるのですが、会社での年末調整は他に収入がないものとして計算していて、給料以外の収入があればそれを合わせて税金の額を計算しなおす必要があるのです。
Aさんは、確定申告に源泉徴収票が必要であることを知らないまま、会社を休んで確定申告会場に出向いたのですが、必要書類がそろっていないということで、確定申告をすることができずに帰るハメになりました。
人は自分の思い込みに基づいて理解しがちです。
できる限り思い込みをはずして多くの知識を持っておくことで間違いやトラブルを減らすことができます。
相手の話を聞く仕事をする場合には、相手の状況を知って情報を共有することを心がけることも大事です。