パート収入の「103万円の壁」

2021年06月03日

 主婦がパートで収入を得る場合、「103万円の壁」ということが言われています。

 税金面で不利になるので年収を103万円以内に抑えておこうというものです。

 しかし、所得控除や社会保険の制度は年々改正されていて、収入金額を調整する場合は現在の制度を確認しておく必要があります。

 主婦の方のパート収入が年間103万円以下の場合は夫の税金の計算上、配偶者控除が受けられます。

 配偶者控除を受けると、夫の所得税の計算において、38万円を所得から差し引いて計算することができます。

 103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなるのですが、収入が150万円までの場合には配偶者特別控除というのが同じく38万円受けられるので、税金の計算においては103万円というのは影響がないということになります。

 ではなぜ「103万円の壁」という言葉ができたのかというと、平成15年までは収入が103万円以下の場合には配偶者控除と配偶者特別控除の両方を受けることができ、控除できる金額が103万円以下の場合は76万円、103万円を超えると38万円となり、税金の額に大きな影響があったので、103万円を超えないようにということがありました。

 また、平成30年の税制改正で、配偶者特別控除の額は収入が141万円までの場合に適用を受けることができ、103万円から141万円までの間は段階的に控除額が減っていくという制度でしたが、それが150万円以下の場合は一律38万円の控除が受けられるという制度に改正されました。

 103万円を超えると妻自身にも所得税が発生することになるのですが、所得税の税率は5%、住民税と合わせても15%で、超えた金額以上に税金がかかるということはありません。

 

 つまり、「103万円の壁」は税金面では壁ではなくなっていて、それよりも「130万円の壁」といわれる社会保険への加入の条件を意識する必要があります。

 年収が130万円(大企業等の場合は106万円)を超えると、主婦が夫の社会保険の被扶養者となることができなくなり、自分が勤める会社で社会保険に入ることになります。

 年収が130万を超えることで社会保険料の負担が月1万円以上になることがあります。
 
 また、夫の勤務先から扶養手当が支給されるている場合には、その金額も考慮に入れつ必要があります。

  年間の収入が130万円以下であっても、月額が108,333を超える月があればその時は扶養に入れなくなるという点にも注意が必要です。


 100万円 住民税が課税される(市区町村によって異なります)
 103万円 所得税が課税される
        配偶者控除が受けられなくなる(ただし、配偶者特別控除あり)
 106万円 社会保険の扶養に入れなくなる(パート先が大企業などの場合)
 130万円 社会保険の扶養に入れなくなる
 150万円 配偶者特別控除が減額される
 201万円 配偶者特別控除が受けられなくなる


 以上の説明は一般的なもので、条件によって扱いが異なる場合があり、表現もわかりやすくするために正確でない部分がありますので、あくまで目安として参考にしていただいて、判断に迷うときは専門家にご相談することをおすすめします。


 この記事は2021年4月1日現在の法律に基づいています。