パソコン購入時の減価償却費の計算
事業に使用する建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。
減価償却資産は取得した時に全額を経費にすることはできず、耐用年数に応じて何年間かに分けて経費に入れます。
耐用年数に応じて分割して経費に入れることを減価償却といいます。
ただし、取得価額が10万円未満のものについては、減価償却資産とせずに取得した時点で全額を経費にすることができます。
たとえばパソコンを購入する場合、価額が20万円でしたら減価償却資産となりますが、8万円の場合には減価償却資産とせずに購入時に全額を必要経費にします。
耐用年数は減価償却資産ごとに決まっていて、普通自動車の場合は6年、パソコンは4年などとなっています。
1年あたりの減価償却費は取得価額に償却率を掛けて計算します。
24万円のパソコンを購入した場合、耐用年数は4年で、4年の場合の償却率は0.250です。
240,000円×0.250=60,000円 なので、
1年あたり60,000円ずつ、4年間に分けて減価償却費として経費に計上します。
年の途中で購入した場合には、減価償却費は月割計算になります。
4月購入の場合は、購入した年の減価償却費は
60,000円×9/12=45,000円 となります。
7月購入の場合でしたら、購入した年の減価償却費は
60,000円×6/12=30,000円 となります。
帳簿に記載する時の仕訳は、10万円未満のパソコンは「消耗品費」、10万円以上の減価償却資産になるものは「器具備品」の勘定科目を使います。
減価償却資産は固定資産台帳に登録し、決算時に減価償却費を経費に計上する仕訳を行います。
この場合の仕訳は次のようになります。
8万円のパソコンを購入した時
購入時の仕訳の例
消耗品費 80,000 /現金 80,000
24万円のパソコンを1月に購入した時
購入時の仕訳の例
器具備品 240,000 /現金 240,000
決算時の仕訳
減価償却費 60,000/器具備品 60,000
以上が、原則的な減価償却費の計上方法ですが、青色申告の場合には取得価額が30万円未満のものはその年に一括で減価償却ができるという特例があります。
24万円のパソコンを購入した場合、取得価額が30万円未満なので、その年に一括で経費に計上することが可能です。
この場合の仕訳は次のようになります。
購入時の仕訳の例
器具備品 240,000 /現金 240,000
決算時の仕訳
減価償却費 240,000/器具備品 240,000
また、減価償却品の計算の際、10万円以上20万円未満のものは、本来の耐用年数によらず、取得価額の3分の1の金額を3年間で償却する方法もあります。
以上を整理すると、パソコンを購入した場合の減価償却の方法は次のようになります。
《青色申告》
①
10万円未満:全額を経費に計上
消耗品費として購入時に経費に計上
10万円以上20万円未満:次の3通りの方法から選択
1 耐用年数を4年として4年間に分けて経費に計上
2 取得価額の3分の1を3年間に分けて経費に計上
3 全額をその年の経費に計上
②
20万円以上30万円未満:次の2通りの方法から選択
1 耐用年数を4年として4年間に分けて経費に計上
2 全額をその年の経費に計上
③
30万円以上:耐用年数に応じて経費に計上
耐用年数を4年として4年間に分けて経費に計上
《白白申告》
①
10万円未満:全額を経費に計上
消耗品費として購入時に経費に計上
②
10万円以上20万円未満:次の2通りの方法から選択
1 耐用年数を4年として4年間に分けて経費に計上
2 取得価額の3分の1を3年間に分けて経費に計上
③
20万円以上:耐用年数に応じて経費に計上
耐用年数を4年として4年間に分けて経費に計上
青色申告の場合に30万円未満のものを購入した年に全額を経費に入れるメリットは次のとおりです。
・計算や管理が簡単
何年間に分けて経費にする場合は、まだ経費にしていない残高を計算し、
毎年確定申告書に取得時期や金額などを書く必要があります。
最初の年に全額を経費にすれば、残高を管理したり翌年以降の記載が不要になります。
・最初の年の税金が少なくなる
税金が少なくなることで手元に残るお金が多くなるので、資金に余裕ができやすいということがあります。
ただし、経費が多くて赤字になるような場合は、その年の税金に影響しないので、
むしろ耐用年数に分けて経費に入れる方が翌年以降の課税所得が少なくなります。